そんな時はリスクマネジメントをご利用ください
しかし、さらにメンバーで検討を重ねた結果、ハイブリッド型の新たな賃金システムを構築することができました。
このスタイルは、その後の私の賃金設計の基本スタイルとなり、ほとんどの会社で賃金設計にはまずこのスタイルを提案するようにしています。
現在のような、複雑な業務内容、また成長格差の大きな現状では、単一型の設計ではうまくいかないことが多いからです。
このプロジェクトでの切礎琢磨が、新たなスタンダードを生み出した事例です。
ただし、この話には後日談があります。
実は、この制度は運用が非常に難しいのです。
基本設計のポリシーを運用する幹部クラスが十分に理解し、きちんと一人ひとりの部下に説明をしなければ、よい運用はできません。
この運用の部分においては、導入後、さまざまな課題が出てきたのです。
T経営では、「賃金体系は設計三割、運用七割」と説明することが多いのですが、まったくその通りの形となりました。
そして、その運用のレベルアップこそが、実務につながるマネジメント力向上につながっていくのです。
現在、同社は当時の設計を再度見直し、部分的に改定し、新たなステージに向かって取り組んでいます。
そして、現在の役員陣は、プロジェクト当時は若手であった、切碓琢磨したメンバーによって構成され、さらに未来に向かって努力を重ねているのです。
私は、「信頼」の定義とは「チームの部下が前向きな期待に沿って行動してくれることを信じること」であり、その成立条件は「一人ひとりが部下からの期待を正しく認識し実行できる意志と能力を持っていること」であると考えています。
信頼の原点は何でしょうか?それは、その人の行動です。
言っていることや知っていることではなく「行動」であり、「立ち振る舞い」であるということです。
その行動要素を分類すると、基本動作、業務行動、立ち振る舞いの三点になります。
日々の行動が原点であり、その評価は、部下なら上司やお客様、上司なら部下・お客様など、周囲の人が行うものです。
行動レベルにおいて、「一人ひとりが部下からの期待を正しく認識し実行できる意志と能力」を常に見直すことが必要なのです。
したがって、リーダーは前述した三点から部下それぞれを見て、アドバイスすることが必要です。
もちろん第三ステージにいる部下は、このような状態をクリアしていると考えていいでしょう。
しかしながら、状況に応じてアドバイスを展開することを常に意識する必要があります。
大事なのは、リーダー自身が部下を信頼する能力を身につけることだと思います。
私がよく信頼のマネジメントと対比するのは「心配のマネジメント」です。
リーダーが部下の仕事の様子をひたすら心配するというスタイルです。
このマネジメントは危険であり、人材成長につながりにくいスタイルと言えます。
リーダーが部下の仕事を心配すると何が起こるでしょうか?ほとんどの場合、部下が心配している通りの仕事をしてしまうのです。
そして、心配マネジメントのリーダーは、「やっぱり心配した通りだ」と思ってしまう。
そして、またまた心配マネジメントを展開するのです。
心配しなければならない部下には、あらかじめ心配な点についてアドバイスをし、任せる段階では信頼マネジメントを展開していただきたいと思います。
任せるというプロセスがなければ、人は成長できないからです。
しかしながら、任せるという状態は、失敗の可能性も含めて、部下に託すという行為です。
したがって、任せたからといってすぐに部下がいい仕事をしてくれるとは限りません。
私が信頼という言葉の本当の意味を実感できたのは、私の長女の成長の一場面、小学校への入学でした。
長女は幼稚園のとき、母親同伴で通園していたので、特に心配はありませんでした。
ところが、小学校へは一人で登校すると言います。
このとき、私は「心配」になりました。
「一人で迷わずに学校に行けるかなあ?大丈夫かな」と「心配」してしまったのです。
では、なぜ私は「心配」してしまったのでしょうか。
答えは簡単、長女の持つ能力を私が信じていないからです。
要するに、彼女の持つ能力では、一人で学校に行けないのではないかと不安に感じたのです。
親が自分の子供の能力を信じ切れていないのです。
これは、先ほど説明した心配マネジメントと同じです。
最も身近にいる人間に信じてもらえなければ、人間は成長できないのではないでしょうか。
私は、長女の能力を信じることにしました。
「確かに頼りないところはあるけれど、一人で学校に行く能力は持っているだろう」と。
結果は、何も問題なく小学校卒業まできちんと通学していました。
私はこのときに初めて「信頼」という言葉の意味がわかったような気がしました。
部下との接し方も同様です。
最も身近にいるリーダーが部下の能力を信頼しなければ、その部下はお客様からも信頼されない人間にしかなれない。
まずは、信じて任せることから始まるのです。
感謝の気持ちをベースとした感性を磨く二つの壁を破った第三ステージの部下に信頼のマネジメントを展開すると、当然ですが、定のレベル以上のいい仕事をしてくれます。
部下がそのようないい仕事をしてくれたときのリーダーの対応について、心・技・体で整理してみましょう。
まず「体」は、わかりやすい言葉をかけること。
具体的には、褒める、お礼を言うなどの行動です。
自分の体質に合った言葉を使い、感謝の気持ちを表現してください。
実は、私自身は部下を褒めることが、残念ながら苦手です。
では、部下がすばらしい仕事をしてくれたとき、あるいはうまく連携し、チームでいい仕事をしてくれたとき、どのようなフィードバックをしているのかを紹介したいと思います。
私は、「ありがとう」という言葉を用います。
すばらしい仕事をしてくれて「ありがとう」と、シンプルに感謝を表す言葉として用いています。
報告・連絡・相談をしてくれて「ありがとう」という形でも用いています。
したがって、私が部下からもらった報告メールの返信は「連絡ありがとう」という言葉から始まるのです。
この言葉を私が用いているのは、その言葉が、私の気持ちを率直に表現できるとともに、私自身の体質に合っているというのが最も大きな理由です。
私が聞いたときにも自分の心に響くし、伝えるときも自分の感性に合った言葉であると感じ、このような習慣になっています。
したがって、共感できる方は、ぜひ参考にしてください。
あまり共感できなかった方は、自分自身の体質に合った言葉を見つけ、使っていくようにしてください。
不思議なことに、言葉というのは、繰り返し使うことで自分自身の気持ちが入っていくような気がします。
リーダーは、言葉に対する感性を磨くことが大事だと思います。
自分自身の使う言葉に対して思いやこだわりを持ち、使いやすい言葉を選択して用いてください。
そして、自分の言葉として磨いてください。
次に「技」は、言葉にプラスアルファを加えることです。
何がすばらしかったのか、どこがよかったのか、そのすばらしさを具体的にフィードバックできる技を磨くことです。
具体的な内容がわからないこともあると思います。
そのような場合は、率直に聞いてみるといいでしょう。
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